什器素材の種類と特性を知って、店舗に合った什器を選ぼう
什器素材の種類はたくさんあるため、木材、金属、プラスチック、紙、ガラス、それぞれの素材の種類と特性をまとめました。
店舗イメージに合った什器を選ぶために、ぜひ参考にしてください。
木材を使った店舗什器
木材を使った店舗什器は、自然の風合いがナチュラルで落ち着いた雰囲気の空間を演出します。
材質にもよりますが、耐荷重で長期利用に向いているという特長があります。店舗什器としては、テーブルやレジカウンター、ディスプレイ什器に多く使用されています。
以下に、木材を使った店舗什器の代表的な素材について、説明していきます。
無垢材
無垢材(むくざい)は、伐採した木材を乾燥させてそのまま使用しています。
大きな木をスライスして切り出した一枚板のものや小さな板を張り合わせたものなどがあり、いずれも自然の木なので、温かみや心地よさを感じられる体にもやさしい素材です。
木には小さな空洞が空いているため、調湿効果(湿気の吸収と水分の放出を行いながら快適な湿度に調整する効果)があり、カビ、ダニ、アレルギーの発生を抑制する効果も期待できます。
突板と比べて、環境や経年により反りや割れが生じる可能性はありますが、色調の変化は自然の味わいとして楽しむことができます。
また、削り直しなどの修復が簡単にでき、重厚感と強度があるため、長く愛用できるでしょう。
集成材
小さく切り分けた複数の木材を乾燥させて、接着剤で組み合わせた素材のことを集成材と言います。
組み合わせた素材と聞くと強度を心配される方がいますが、高さのある建物の柱・梁・土台などの構造材としても利用されているほど、強度の高い素材です。
集成材の中には、間伐材を利用したものもあります。間伐とは、適切に間引きを行い土壌や植物の育成を促し豊かな森林を保つための作業です。間伐材は、そのような間伐作業で切り倒した樹木を利用できるためSDGsにつながります。
集成材のデメリットは、環境や経年によっては、収縮する可能性がある点です。しかし、硬さと重さなどの強度が安定しているため、多くの店舗でさまざまな用途の什器に利用されています。
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合板
合板(ごうはん)とは、原木を薄くスライスしたベニヤ(単板)複数枚を接着剤で貼り合わせた板のことです。英語名のプライウッド(plywood)とも呼ばれます。合板は、木材の繊維(木目)方向が交差するように積層させているため、反りや収縮などを抑えたうえ、調湿効果もあり頑丈な什器素材です。
合板は1本の丸太から多く製作できるため、天然の一枚板に比べて比較的安価であり、軽量で加工しやすいメリットを生かし、曲げ加工などを施したデザイン性の高い什器にも利用することができます。その他にも、多岐にわたる幅広い用途で活用される機会の多い什器素材です。
2003年建築基準法で規制が施行される以前は、合板の接着剤が発散するホルムアルデヒドが、シックハウス症候群の原因物質の1つとして問題になりましたが、現在は法規制の基準を満たした安全な合板が使用されています。
※スキエキオリジナル商品は、ホルムアルデヒド放散量が最も少ないとされるF☆☆☆☆(エフフォースター)同等の合板を使用しています。
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化粧板
化粧板とは、木質基材の見た目を美しくするために、表面にシートや薄い板などを貼って加工を施した什器素材で、表面に張るシートの種類によって、耐久・耐水・耐熱・防火性などを強化する効果があります。
柄や色のバリエーションが豊富な表面素材が多いため、店舗のイメージに合った化粧板の什器素材を見つけやすいのも特徴です。
表面素材の代表的なものは、メラミン、ポリエステル、塩ビ(PVC)、突板があります。それぞれの詳細については、下記の章で説明します。
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メラミン
メラミン化粧板(メラ化粧板)とは、軽量で機能性が高く、見た目のバリエーションが豊富なため、店舗什器に最適と言われている素材のひとつです。表面がプラスチック状になっているため硬度が高く、耐汚染、耐熱、耐水、耐候、耐摩擦性に優れています。
仕上げ加工はフラットタイプかエンボスタイプ(凹凸があるタイプ)があり、軽度の水・熱・油汚れなどは、サッと拭き取ることが可能です。塗装ではないため色がはがれにくく、変色への耐久性もあります。
メラミン化粧板の製造方法は、大きくわけると高圧か低圧の2種類です。
高圧メラミン化粧板は、樹脂を染み込ませた紙を積み重ねて高圧プレスし、基材に張り付けます。低圧メラミン化粧板は、メラミン樹脂を浸透させた化粧層を低圧プレスで成型し、木質基材と一体化させたものです。
メラミン化粧板は、無垢材のような天然木材のもつ温かみに欠ける点がデメリットでしたが、近年は遠くから見ても違いがわからないほど加工技術が向上しました。撥油、抗ウイルス、指紋レス、スクラッチレス(傷がつきにくい)タイプなど、機能性を強化したメラミン化粧板もあります。
ポリエステル化粧板とは、見た目の区別がつかないほど似ていますが、メラミン化粧板の方が耐久性に優れている点が特長的な違いです。
ポリエステル
ポリエステル化粧板は、色柄のバリエーションが豊富で、表面硬度が高く、耐水・耐汚染性に優れているのに比較的安価なため、店舗什器によく利用される素材のひとつです。
一般的な製造方法は、専用の化粧紙(チタン紙)と合板などを張り合わせて、表面にポリエステル樹脂を塗布し、高圧・低圧・常圧のいずれかの方法でフィルム硬化します。
ポリエステル化粧板とよく似ているメラミン化粧板と比較すると、総合的な耐久性はメラミン化粧板の方が少し優れていますが、ポリエステル化粧板の方が安価で少し軽量です。それぞれの利点を生かして、どちらも活用したい場合は、たとえば天板はメラミン化粧板で、支柱はポリエステル化粧板にするなど、使用する環境・用途・予算などによって使い分ける方法があります。
塩ビ(PVC)
塩ビ(PVC)化粧板(塩ビシート化粧板)は、木質基材に塩ビシートを張り合わせた化粧板です。安価ですが、耐汚染、耐水、耐候性に優れています。表面に使用する塩ビ(PVC)とは、ポリ塩化ビニル(英語ではPoly Vinyl Chloride)の略称です。
塩ビシートによる表面仕上げには、ダブリングタイプとワイピングタイプの2種類があります。ダブリングタイプは2枚重ねて張り合わせたシートで、光沢による高級感があり、耐久性や強度に優れています。ワイピングタイプは加工による凹凸が傷や汚れを目立たなくする点や、滑りにくい点が特徴です。
いずれも塩ビには高熱で柔らかくなる性質があるため、化粧板の表面に意図的な凹凸をつくれます。加工性が高く、色柄のバリエーションも豊富です。
突板
突板(つきいた)化粧板とは、薄くスライスした板を木質基材に張り付けた化粧板です。美しく木目柄を効率的に利用することもでき、無垢材同等の自然の深みも味わえます。
メリットは無垢材よりも軽量で施工性に優れ、収縮による反りや割れなどが少ない点と、高級感があるのに安価な点です。一方で、デメリットは削り直す修復ができない点です
SDGsにもつながる繊維板
繊維板は、木破片、木材チップなどを細かく砕き、接着剤で熱圧成型して固めた板です。反りにくく加工性がよい特徴があり、化粧板の芯材によく使われています。
繊維板は、間伐材※や端材などを原料としているため、森林資源の無駄な伐採を減らすことに貢献する資材だといえます。リサイクルによる廃棄物削減に貢献でき、SDGsにつながる什器素材なのです。
※間伐材とは、森林に密集しすぎたために伐採した木材のことです。間伐によって、森林に太陽の光が届くようにし、残りの木の成長を促します。
代表的な繊維板のパーティクルボードとMDFについては、下記の章で説明します。
パーティクルボード
パーティクルボードは、木材チップを接着剤で熱圧成型して固めた板です。英名では、chipboard(チップボード)とも呼ばれます。繊維板の一種ですが、繊維状ではなく、チップ状の木材を使用しています。木材チップの大きさや密度は、後章のMDFより大きいです。チップサイズがパーティクルボードより大きいものはOSBボードと言います。
高温多湿の環境では劣化しやすいという特徴がありますが、原料には廃材などが用いられているため、資源リサイクルができ地球環境に役立つ什器素材です。安価で加工しやすいため、幅広く使用されています。
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MDF
MDF(Medium Density Fiberboard:ミディアム・デンシディ・ファイバーボード)は、木材を繊維状に細かく砕いて線維化してから接着剤を加えて熱圧成形した板材です。
繊維板の一種ですが、パーティクルボードよりも繊維が細かく、密度が高いため、より滑らかで平らな仕上がりになります。加工・塗装・遮音・断熱性に優れていますが、高湿度では劣化しやすいため、湿気のたまりやすい場所での利用はあまりお勧めできません。
MDFの原料には、小径樹木や端材、建築解体の廃材などのリサイクル利用も可能です。よって、MDFの製造に森林伐採を行う必要がありません。SDGsとリサイクル性の高い、環境に優しい素材です。
小規模店舗での什器選びのポイント
金属を使った店舗什器は、耐久性があり、長期間の使用や重量物を陳列、展示するのに適しています。
また、木材と比べて重厚感や高級感を表現することにも優れています。
以下に、金属を使った店舗什器の代表的な素材について、説明しています。
スチール
スチールは、金属の中では安価ですが、強度、剛性、加工性、耐久性、安価さ、リサイクル性などの優れた特性を持つ素材です。
店舗什器としては、さまざまな用途に古くから広く使用されています。什器のフレームやテーブルの脚などに利用するほか、代表的なものとしては、耐荷重が必要なラックや耐久性が必要なロッカーなどです。
ステンレス
ステンレスは、鉄を主成分とした合金で、クロムを10.5%以上含むさびにくい鋼です。英語名は「Stainless steel」で、さびない(Stainless)、さびにくいといった意味が語源となっています。
耐食性が高いため、手入れが簡単です。耐熱性もあり、その他にも、強度、耐寒、加工、衛生、リサイクル性などに優れているため、店舗什器としては、厨房機器や外に置く路面側什器や列整理のポールなどによく使われています。
プラスチック・樹脂を使った店舗什器
プラスチック・樹脂を使った店舗什器は、木材・金属・天然材料に対して、安価で大量生産が可能な代替品としての使用が多い素材です。軽量、加工、デザイン性などに優れています。
プラスチック・樹脂を使った店舗什器として代表的な素材であるアクリル、ポリカーボネートについてと、その他の環境にやさしいプラスチック素材について説明します。
アクリル
アクリルはガラスに比べて透明度が高く、比較的安価で手に入りやすいため、ショーケースやディスプレイ什器、パーテーションなどによく使われています。
加工性、耐久性、耐候性、軽さに優れた特質ですが、キズが付きやすい点がデメリットといえます。
ポリカーボネート
ポリカーボネートは、熱可塑性のエンジニアリングプラスチックの一種で、ガラスと同等の透明度を持ち、可視光線透過率は80〜90%と高いのが特徴です。
耐衝撃・耐候・耐熱・加工性に優れ、割れにくく、紫外線に強いという特長があります。
店舗什器としては、間仕切り、パーテーション、ポスタースタンドなどに利用されている素材です。
環境にやさしいプラスチック素材も
環境にやさしいプラスチック素材として、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」をご紹介します。
生物由来の資源を原料にした「バイオマスプラスチック」は、石油由来のプラスチックではなく、植物や廃棄物由来のバイオマスを原料としたプラスチックです。
従来のプラスチックに比べて高価ですが、石油資源の枯渇や環境負荷への懸念から、近年注目されています。石油資源の節約、温室効果ガスの排出量削減につながります。また、一部のバイオマスプラスチックは、微生物によって分解される生分解性プラスチックです。
「生分解性プラスチック」は、使用後に分解されて自然に還るプラスチックです。環境負荷の低減につながります。
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紙を使った店舗什器
紙は、古くからさまざまな用途に使用されてきた素材ですが、近年では店舗什器としてもSDGsの観点から先述の繊維板の他にも紙が注目されています。
紙製の什器は、軽量で組み立てやすく、搬入、搬出が楽です。安価で、加工性に優れているだけでなく、環境負荷の低い素材であるので処分しやすいというメリットがあります。デメリットは、水、火、荷重には弱い傾向があります。印刷や加工によってはリサイクルが難しい場合もあるため、購入前にその点も考慮しておいた方がよいでしょう。
ガラスを使った店舗什器
ガラスは、宝石店やブティックなどでよく用いられているように、商品や空間を明るく見せる効果があり、高級感を演出できる什器素材です。
ガラス製什器の素材としての強みは、高級感・透過性・高い採光性があります。アクリルと比べて耐荷重が高いため、比較的重量のある商品も陳列可能です。店舗什器としては、ショーケース、ディスプレイ什器、テーブル(トップ部分)によく使われています。
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まとめ
この記事では、木材、金属、プラスチック、紙、ガラス、それぞれの什器素材の種類と特性について解説しました。
SDGsに貢献したい場合「バイオマスプラスチック」や「生分解性プラスチック」は、店舗什器としてはまだポピュラーではありませんが、今後も注目されていくでしょう。
この記事を通して、什器素材の種類と特性に興味を持っていただき、ストアエキスプレスで店舗に合った什器素材をぜひ選んでみてください。